水野俊平「日本人から見た韓国の若者事情」

水野俊平(みずの しゅんぺい)
1968年北海道生まれ。天理大学朝鮮学科卒業。大韓民国・全南大学校大学院博士課程修了。現在、同大学日本語講師。光州に住む。テレビ(KBS)人気番組「いい国運動本部」にコメンテーターとしてレギュラー出演中。韓国の反日小説や世相を、限りないユーモアとペーソスをもって爽やかに語る。著書に、『韓国の若者を知りたい』水野俊平(著)(2003/05)岩波書店、『韓国のなかのトンデモ日本人--日本では絶対に見られない、韓国ドラマ・映画・AVの世界』野平俊水(著)、大北章二(著)(2004/05)双葉社など他多数。

水野氏は90年から韓国に住んでいる。韓国在住は15年あまりになる。この水野氏から見た韓国と日本のインターネット、若者事情がこの講演では語られた。


韓国では最近ひきこもりはもちろんのこと、学級崩壊などが散見されるようになってきたという。日本ではいち早くこれらの問題が起こっているので韓国が日本の事例を参照する利点は大きい。一方で、韓国は日本以上にネットが浸透しているため、この点は韓国を参照する利点が日本にはある。


水野氏が言及するのは小学1年生〜高校3年生まで。韓国社会教育研究所*1の行った膨大な量の韓国青少年の意識調査というものがあるらしい。ここから韓国の平均的な青少年の生活を浮かび上がらせようというのが水野氏の今回の講演の意図だ。


韓国の青少年は80%程度が家で時間を過ごすと答えている。あとはPCバンで過ごす若者が20%くらい*2。学校が10%、道ばた9%、カラオケ・ゲーセンが8%。日本だったら回答に含まれるであろう「コンビニ」が韓国では回答にはなかった。


韓国の青少年は学年が上がるとほぼ自室にパソコン*3を持っている。パソコンをする理由は、他にやることがない40%、金がない40%*4。パソコンを行うのは平日2時間、休日3時間程度。


インターネット中毒と呼ばれる人は全体の2%程度。このネット中毒に対してサムスン系の研究所が対策マニュアルを作成している。このマニュアルでは「強制は意味がない」と書かれている。つまりインターネット中毒者から強制的にパソコンを取り上げても解決にはならない。解決には「両親が子供を把握すること」「親も子供を理解するために実際にインターネットをやってみる」「子供自身に管理する能力をつけさせる」ということがマニュアルでは示されている。


「家族」の役割が強調されているのが印象的である。


韓国では「家族」が日本よりも強固であるようだ。家族との関係が良いと90%が答え、家族との会話と家族とのイベントを大切にする傾向がある。父親の誕生日会をやっているのは56%*5

韓国では問題が起きたら「家族がなんとかする」という。


また、キム・ヒョンス氏から夫が9時までに帰ってくる家庭ではネット中毒は起きにくいとの指摘もあった。


*1:研究所の名前は正確に書留められていないと思う。ご注意ください

*2:韓国ではPCバンは1時間当たり100円程度と割と安価であるとのこと

*3:回答者の97%

*4:韓国では学生のアルバイトが一般的でない。またアルバイトはかなりの低賃金労働であるようだ。

*5:韓国は陰暦なので毎年誕生日が変わる。親の誕生日も毎年変わるわけだが、多くの青少年は親の誕生日を把握しているようだ。