牟田武生氏から宮台真司氏への質問

社会のグランドデザインはどうあるべきか?という質問であった*1


家族がいっそう希薄化していく中で家族の復権を言ってみても仕方ない。加えて日本の特殊事情もある。日本は血筋ではなく家筋で家族を構成させている。つまり血のつながりよりも家の家督相続が優先され、家を継ぐ人間が養子であってもかまわないという考え方だ。従って、日本の歴史的な家族と夫婦を中心とした近代家族というものの間には親和性がない。日本は元来、「夫婦仲は悪くても子は育つ」という歴史を持った国なのだ。


日本で家族がしっかりしていたような時期はほとんどない。このような声は専業主婦に負担をかけ、ニュータウンの主婦たちをテレクラに走らせた。また「母原病」という発想を生みだし、益のない道徳的教説が氾濫するだけの状況に至っている。


コンビニ・ファミレス的なものを抑制していき、マニュアル的なものの重要性を低くしていくしかない。*2。ただ地域社会の復活と言ってみてもムリであろう。


しかし、一方でジャスコのような大規模小売りというスタイルにも将来性がない。ジャスコの売り上げは頭打ちで、大資本の限界が見えてきている。そこで、大資本を使ってかつての地元資本的なものの場所を確保できないか?と宮台氏は社会のデザインを提示していた。宮台氏の住まいの近くに「しぶちかショッピングロード」というものがあるらしい。この「しぶちか」がかなり良い感じになってきているようだ。このような場所を大手資本が提供することが必要なのではないか、と宮台氏は言っていた。

*1:これはかなり答えにくい質問のように思う

*2:マルクス疎外論的な処方箋と考えられる