溝上慎一『大学生論』

現代大学生論 ~ユニバーシティ・ブルーの風に揺れる (NHKブックス)

 いずれの学生にもいえることは、見通し、やりたいこと、将来の目標が認識レヴェルでとどまっており、リアリティある形で機能していないということである。やりたいことを見つけるだけでも難しい場合が少なくないが、それを忍耐強く実現レヴェルに移して取り組んでいくことはもっと難しいことを、この調査結果は示している。
 −−溝上慎一,2004,『現代大学生論−−ユニバーシティー・ブルーの風にゆれる』日本放送協会出版局 :177


「大学生」の中にある絶望は「自己選択」にまつわるものである。
将来の見通しはあるがそれを行動に移していない。ズルズルと年月はたって、そのうちに大学の4年間が過ぎ去ってしまう。これが多くの大学生の平均的な姿だ。


大学に入学できるのは人口の4割、男性で5割。だいたい半数の人間が大学生になる。数字的に見れば、社会の中では恵まれた部類に属している訳だ。しかし、実態はこのようなもの。なぜこんな生活を送ることになるのだろうか?