(1)自分で課題が出来ない

「これが大事だ」「これをやれ」といろいろいって欲しいという者が少なからず出てくる。「規範や規則で縛って欲しい」などとはいわないにしても、課題やモデルは与えて欲しいと願っている。それが力強く与えられなくなったのが現代である。
−−溝上慎一,2004,『現代大学生論−−ユニバーシティー・ブルーの風にゆれる』日本放送協会出版局 : 169

学校の中では定期テスト・小テストをはじめノート提出や毎日遅刻せずに学校に行くことなど日々課題が外部から与えられる。しかし、大学に入った途端に外部から課題が与えられることはほとんど無くなり自分ですべて設定して行かなくてはいけない。大学の時間割の設定も個人に任せられるので、朝の授業は入れずに昼から大学に行くことも可能だし、単位を満たせば卒業できるので大学に通い詰める必要もない。


だから、大学に入ると今までの生活がガラッと変わってしまう。外部与えられてきた課題が消滅するのだ。そうすると、いったい何をして一日を過ごしていけばいいのか?という事が分からなくなるのである。


従ってここから導き出されるのは、高校以前の教育課程に自分自身に対して課題を課していくことを学ぶ機会が存在していないという問題点である。選択の機会が与えられず育てられたのに、いきなり自己選択して自己責任だと言われていったいどうしたらいいのか分からず4年間過ぎてしまう。これが現代大学生にまつわる問題である。