不安を払拭するためのコンパ
溝上慎一編『大学生論―戦後大学生論の系譜をふまえて』
今ではサークル加入率も50%を切り大学生のコンパもやや控えめとなった。しかしまだコンパ文化というものは葬り去られた訳ではない。
一つは,大学入学以前の期待から大学入学後の失望への変容,言い換えれば,「期待−失望パラダイム」とでも呼べる要因である.多くの者は,人生の夢や甘い生活を大学生活実現できるものと淡く期待して,大学受験を頑張ってくる.大学に入ったら何とかなる,そう信じて頑張ってくる.たとえ第一志望の大学,学部に入れなくても,大学に入ったら自分を迎えてくれる何かがあるだろうと信じている.しかし,実際に大学生になってみると,なかなかそれが得られない.結果,失望する.期待がなければ失望もないのだろうが,人生をかけての期待であるだけに,大学への失望はひとしお高い.
−−溝上慎一編,2002,『大学生論――戦後大学生論の系譜をふまえて』ナカニシヤ出版 : 53
このような失望をした大学生はどうなるのか?
まず考えられるのは身近なことに力を注ぐという解決法である。マジメな学生は大学の単位を取ることに熱心になり、将来に不安を持っている学生はダブルスクール*1に通い就職を有利にしようと思うかも知れない。ではサークル加入者はどうか?やはり彼らもコンパをマジメにこなすのだ。
しかし、id:about-h:20050105でも書いたように「不安」はつきまとう。この不安が大きければ大きいほど、不安を払拭するために努力がなされる。つまり、コンパを一所懸命やることによって「不安」を忘却してしまうのだ。
あえて言うならば「不安を忘却するためにコンパをして楽しく騒ぐ」のだ。今自分がいる場所で出来ることを一所懸命やることによって不安を忘却するのである。