生活満足度

SSM(「社会階層と社会移動」全国調査)2005の予備調査として実施されたSSM2003*1のデータを使う機会があったのでついでに生活満足度について調べてみた。

そんなことをしたのは昨日こんなエントリを読んだから。

僕はひきこもり問題よりも、こうした所得格差や労働格差、機会格差、教育格差の問題の方が重要だと思っている。ひきこもりでもお金のある人はずっとひきこもっていられるし、逆にお金の無い人はどんどん追い詰められるからだ。
http://dumb.s54.xrea.com/impressions/20050107_0334.html

どの問題が一番深刻なのか?という不幸競争をやってるようで、あんまりこのエントリは感心できないけれども、確かに所得格差や教育格差が問題なのは違いない。


「あなたは追い詰められているか?」というような事は質問項目で聞けないので、代わりに「今の生活に満足しているか?」というもので測ってみた。生活満足度と呼ばれている指標だ。


生活満足度と教育年数の相関*2を調べると有意な値はでない*3。低学歴者が生活に不満足という訳でもなく、高学歴者が生活に満足していると言うこともない。その逆もまた無い。


世帯収入*4ではどうか? こちらは有意な値がでて相関係数は0.201*5。世帯収入が高い方が満足だと答えるという結果になっている。


満足度に収入は関係するけれども学歴は関係しない。大学卒か高卒かということで生活満足度に影響が出ないのは興味深い。

*1:男性回収率が54%と前回の調査より低回収率だった。ただ社会調査一般からすると決して低いわけではない。調査者がやる気がなかったからだという糾弾もあるが原因はそういうことではなくプライバシー意識であろう。回答者のプライバシー意識が高まり、カードのデータ抜き取り事件などによって社会不安が増大すると個人情報を書き込む社会調査は警戒される。調査の回収率は今以上に落ちていってしまうのかもしれない

*2:男性の場合

*3:SSM1995でも有意ではない

*4:男性の場合

*5:有意水準5%