スティグマとは何か?
「スティグマ」という言葉は学術用語ではなく日常的に使われる言葉だ。もともとは奴隷や犯罪人になどに押されていた「烙印」のことであったが、カトリック教会では、十字架上で死んだキリストの五つの傷と同じものが聖人にあらわれるということから「聖痕」の意味にも使われようになった。
「ステイグマ」は日常用語としてすでに道徳的に着色されている。すなわち、カソリック教会では「聖痕」の意であって、本当の聖人を識別できる一定のマークである。だがこれはカソリック教義によって意味転換した結果であって、より一般的には、奴隷や犯罪者に押された焼印、さらにもっとも忌みきらわれる病気の痕跡などの意である。
同じステイグマという言葉で、このように浄(聖)と不浄(汚磯)とがシムボライズされ得ること自体、例の「聖の両義性」諭を想わせる。すなわち、あたかも悪魔との交渉を刻印するマークが、まさにそれ故に、神との交渉を刻印するマークに意味転換しているのだから。
大村英昭の言うように「スティグマ」は3つの性質を持っている。
以上が一般の言葉としての「スティグマ」である。