治療に対しての態度

 しかし、のちに治療の必要が出てくる場合について触れますが、治療が必要になるところまでにいたるのはよほどのことなのです。そうなってしまうことの多くは、引きこもりに対する家族や周囲の人たち、そして医者やカウンセラーの不適切な対応によって迫い込まれてしまったためなのです。

−−芹沢俊介, 2002『引きこもるという情熱』雲母書房 :38-9

ひきこもりを病気扱いする「治療」への批判としては理解できる。しかしも、不適切な対応によって追い込まれるから治療が必要なのだというのはよく分からない。ひきこもりを長期化させるのは、本人がひきこもっているばかりではなく、家族さえもが社会からひきこもって、誰にも相談せずに時間だけが過ぎていって長期化するからであったはずだ。精神科医のような存在が必要になるのは、不適切な対応がとられたのではなく、適切な対応が取られなかった場合なのだ。