治療に対しての態度

しかし、のちに治療の必要が出てくる場合について触れますが、治療が必要になるところまでにいたるのはよほどのことなのです。そうなってしまうことの多くは、引きこもりに対する家族や周囲の人たち、そして医者やカウンセラーの不適切な対応によって迫い込…

芹沢俊介の認識

芹沢は次のようにひきこもりについて次のように述べている。 まずそこでの滞在(=ひきこもり中)の記憶がほとんどないことです。ということは閉じこもっている自分を否定的に見つめる自分(社会的自己)や、自分以外の他者の視線がないことを物語っています…

芹沢俊介『引きこもるという情熱』

このエントリでは評論家・芹沢俊介のひきこもり本を取り上げてみたい。 『引きこもるという情熱』 作者: 芹沢俊介 出版社/メーカー: 雲母書房 発売日: 2002/05 メディア: 単行本 この本のスタンスは(1)ひきこもりを肯定すること(2)支援団体や精神科医を批…

貴戸理恵の試み

この間いは不登校だけに関わるのではなく、「社会的に劣位のカテゴリーへと自己同一化を迫られた人びとが、選んだわけではない状況をいかに引き受け、存在証明を行ないうるか」という、もっと一般的な水準の問いに重なっている。劣位の自己といういわば「病…

クィア・スタディーズ

「クィア・スタディーズ」と呼ばれる研究分野がある。「クィア(queer)」とは「変態」や「おかま」という意味で、ネガティブな意味(差別語)である。「クィア」と名指される当事者自身がこの言葉を自分を名指す言葉としてあえて使おう*1と試みたことからク…

貴戸理恵『不登校は終わらない』について その5

貴戸理恵『不登校は終わらない―「選択」の物語から“当事者”の語りへ』で示されている方向性が「ひきこもり」における妥当性を探るためにエントリ。

少しエントリするのが遅れてしまったけども、先日id:ueyamakzkさん(上山和樹さん)とお会いして長時間にわたって話し合いをしていただいた。話し合いの中で自分が考えるべきものがいくつも出てきて、その復習していくだけで当分ダイアリーが続けていけそうな…

不登校とひきこもり

この本では15人の不登校経験者に対する質的なインタビュー調査が行われている。 本書の語り手たちは、その多くが「うまくいっている」人びとであり、第三者に自らの経験を語りうる「安定した」人びとである。その意味では、「不登校によるマイナス」を比較…

貴戸理恵『不登校は終わらない』について その4

貴戸理恵『不登校は終わらない―「選択」の物語から“当事者”の語りへ』についてエントリ。

社会学の判断とは?

社会学の判断とは 「風が吹くと桶屋が儲かる」ということわざがある。 風が吹く→砂ぼこりが舞う→目に入る→目が不自由になる→三味線弾きが増える→三味線の材料の猫の皮の需要が増える→猫が減る→ネズミが増える→ネズミによって桶がかじられる→桶の買い換え需要…

オルタナティブな生としての不登校

貴戸理恵は「物語」の整理に彼女はいくつかの立場を提示している。 別ウィンドウで表示(クリック) 貴戸理恵は「不登校の肯定」+「不登校によるマイナスを問題化」する立場として〈当事者〉をあげ、そこに不在があったという。 「ひきこもり」に読み替えてみ…

貴戸理恵『不登校は終わらない』について その3

引き続いて、貴戸理恵『不登校は終わらない―「選択」の物語から“当事者”の語りへ』についてエントリ。

「ひきこもり」がもたらす構造的悲劇

この事件については、斎藤環氏も『中央公論』2004年12月号で取り上げていた。斎藤氏の文章の題は「「ひきこもり」がもたらす構造的悲劇」というもの。まさにこの一文がこの事件を言い表しているように思われる。 この事件は言葉の本来の意味で象徴的な…

3つの両親殺し

去年の末に3件のひきこもりによる両親殺しがあった。以下はこの3件の概略。 東大阪(36歳。2004年10月19日)の事件は将来を悲観しての犯行。両親が老いて年金暮らしとなり、周りに借金をしなくては生活が維持できず、そのことに絶望しての殺害事件だ。殺人と…

「ひきこもり」がもたらす構造的悲劇

引きこもり男性、両親殺害事件 何か最近こういう事件がたびたび起きているようですが、about-hさんはどうお考えになりますか?』 id:about-h:20050130 id:cafe_noirさんにコメントをもらいましたので、エントリします。

ひきこもり問題との距離

この本で語られいることを「ひきこもり」問題に写して考えてみると、何カ所か違和感がでてくるところがある。 例えば以下の箇所。 ここには〈当事者〉の視点が不在である。〈当事者〉とは、「不登校によるマイナス」をわが身にこうむりながら不登校を自分の…

貴戸理恵『不登校は終わらない』について その2

昨日に引き続いて、貴戸理恵『不登校は終わらない―「選択」の物語から“当事者”の語りへ』についてエントリ。不登校とひきこもりはよく似た性質を持つ問題である。加えてひきこもりの3割〜4割は不登校からのスライド組という関連性もある。

「当事者」とは誰か?

貴戸理恵のいう「当事者」は元・不登校が含まれている。貴戸理恵本人も経験者なので当然彼女も含まれてる。 このはてなダイアリーでは元ひきこもり(経験者)は当事者でないことになってる*1。自分は普通に外に出られる。外に出られるようになったのに自分はひ…

貴戸理恵『不登校は終わらない』について その1

『不登校は終わらない―「選択」の物語から“当事者”の語りへ』 作者: 貴戸理恵 出版社/メーカー: 新曜社 発売日: 2004/11 メディア: 単行本 朝日新聞の書評にも紹介された*1貴戸理恵『不登校は終わらない―「選択」の物語から“当事者”の語りへ』についてエント…

比較してみました

ここ数日id:SUISEIさんがひきこもりについてのエントリーをされてるようだ。id:SUISEI:20050130で書かれていることについて自分と比較してみた。(質問項目は同じで回答自分の回答) ひきこもり前と脱出後では同じような人間か? これは同じ回答。違う人間だ…

ダイアローグとモノローグ

これは決して皮肉ではなく、ごく素朴な感想なのですが、皆さん本当に「議論」や「論争」をせずにはおれない状況なのだな、と。 id:cafe_noir:20050125 id:cafe_noirさんの言われるように「議論」は多い。特にはてなダイアリーには多い気がする。 自分がはて…

自由で不自由な社会で生きていくためには

自殺学は貧困*1によって自殺は生まれないという。 では、経済的な要因は無視できるか? もちろんそういうわけではない。日本の年間の自殺者は1998年に激増し、それ以後3万人を越え続けている。参考リンク:自殺死亡の年次推移。 1998年に自殺者が激増した理…

「スティグマ」と「ひきこもり」

「ひきこもり」の人というのは他者から見て一瞬で分かるというものではない。肉体的な問題ではなく精神的な問題だ。だから注意深く探さないと「ひきこもり」であるということは分からない。いや、注意深く探しても分からないかもしれない。 だから「ひきこも…

アーヴィング・ゴフマン

社会科学で使われる「スティグマ」という用語はアーヴィング・ゴフマンによって広められものだ。ゴフマンの「スティグマ」は一般の言葉としての「スティグマ」とはやや異なっている。ゴフマンはスティグマを次のように定義する。 それはわれわれの注意を惹き…

スティグマとは何か?

「スティグマ」という言葉は学術用語ではなく日常的に使われる言葉だ。もともとは奴隷や犯罪人になどに押されていた「烙印」のことであったが、カトリック教会では、十字架上で死んだキリストの五つの傷と同じものが聖人にあらわれるということから「聖痕」…

スティグマとは

id:cafe_noir:20041229でコメントした後、放ったらかしにしていた「スティグマ」についてエントリ。 「スティグマ」という用語を「ひきこもり」に持ち込むことは生産的ではないが、ひきこもり後には生産的であるかもしれない。「スティグマ」については大村…

知能検査のスコアと自殺率

id:hotsumaさんところにBMJ(British Medical Journal)へのリンクが貼ってあったので読んでみた。全部読んでないがきっと一番興味深いのはのこれのような気がする。 Low intelligence test scores in 18 year old men and risk of suicide: cohort study auth…

生活満足度

SSM(「社会階層と社会移動」全国調査)2005の予備調査として実施されたSSM2003*1のデータを使う機会があったのでついでに生活満足度について調べてみた。そんなことをしたのは昨日こんなエントリを読んだから。 僕はひきこもり問題よりも、こう…

メディア情報 『NNNドキュメント 急増!ネット依存の恐怖 』

日本テレビ系列で放映されているNNNドキュメント。今回は「ネット依存」を取り上げる。『ゲーム脳の恐怖 (生活人新書)』で有名になった森昭雄氏も登場するとのこと。参考リンク: NNNドキュメント

メディア情報 『ミューズの楽譜』

午後10時54分からテレビ東京系列で放送されている『ミューズの楽譜』。1月23日 (日)放映分で音楽家の城之内ミサさんがひきこもり体験を語るようだ。 この日は1月23日放送分の収録で、ゲストは音楽家の城之内ミサ。高校時代にひきこもりだった体験…